
女神降臨-究極のラブドール第2回
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- 27 Apr, 2021
「ん……」
ぼんやりと浮かぶ、見慣れた天井。
「あれ……俺……寝てたのか……」
俺はベッドに横になっていた。
「あ……なんか……布団に……」
寝ぼけてはいたが、何やら違和感に気づく。
布団の中に大きな異物があるような……。
バサッと布団をめくってみる。
愛らしいラブドールが俺に抱きついていた。
「……そうかそうか!俺ラブドール買ったんだ!一緒に寝ちゃってたんだそうそう!そうだそうだ……」
なんて言っていると、
ラブドールは眠たそうに目をこすりだした。
「ひぃ!」
思わず情けない声をあげてしまった。
何が起こっているのか必死に脳を回転させる。
そう、俺は昼間に届いたラブドールを開封した。
開封したら、ラブドールが喋り動き出したのだ。
うん、わけわからん!
「なんなんだ一体……」
ラブドールはいつの間にかコスチュームを着ていた。
まるで不思議の国のなんとかさんを連想させる衣装……幻想服のライトブルー。
「ふにゅ……」
動き出してしまったラブドールは変な声を出したかと思うと、
俺を上目づかいでぼんやり眺めた。
その愛らしいおメメはまぶたが半開きで愛らしかった。
眠い系のジト目。
「おはおー……ますたあ……」
首元まで顔を近づけてくるもんだから、
甘い声が耳元へと伝い、チ●チンがジンジンしてしまった。

しかし俺はそんな事よりもこの異常事態にパニパニパニックだ。
「おま、君、どこの幼女!?え、何、どういうこと!?おれ誘拐、え、誘拐?え、犯罪?あれ?何これもう!!」
「落ち着いて、マスターっ」
ぎゅっ……と俺を抱きしめる美少女。
甘い香りが鼻を突き抜け脳にダイレクトアタック。
「落ち着けるかぁぁ!!」
俺は余計に荒ぶった。
「落ち着いてっ」
ラブドールはそう言うと、突如光り出し、宙に浮く。
え、どゆこと?
「嘘だろ……後光ごこうだ……ラブドールに後光が差している……!」
「私は、天界より下界のラブドールに降臨せし女神、ペトセティリカ・ミョンガルマ・フワトロ・パルパルプリリンモンモン」
宙に浮いたラブドールは相変わらずジト目のまま、急に自己紹介を始めた。
「略してペティ」
「いや、後半の印象強すぎるから」
「天界生まれ天界育ち」
「いや、展開についていけてないんだわ」
しかし、ラブドールは自己紹介を続ける。
「いまだ神話に登場しない、見習い女神、ペティ」

「は……はは……はは……ははは……」
混乱しすぎて目の焦点が合わなくなってきた。
何なんだ一体。急にどうしたんだ。
何を言ってるんだこのラブドールは。
「さて、落ち着いて話を聞いてね、マスター。今からちゃんと何から何まで説明するからっ」
幼い声と見た目のラブドールは、宙に浮いたまま、
俺の頭をよしよしと優しく撫でる。
「は……はひ……」
「マスター、私と一緒に戦ってほしいの」
「むりです」
とりあえず即答した。
「マスターっ!最後までわたしの話、聞くのっ!」
お叱りをうけた。
「ちょっと待ってくれよ……コーヒーとか飲んでゆっくり話そうよ……てか……とりあえずもう宙に浮くなよ……降りていいよ……」
「それもそか……ふわあぁあ……」
女神はあくびをしながら眠たそうにベッドへと降りた。
意外と物分かりはいいようだ。たぶん。
「でもあんまり時間がないの」
「ん……?」
なんなんだよオイ。
まさかとは思うが、次から次へとイベント発生しないでくれよ?
「戦いは、もう始まってるから。」
「……は?」
これは……嫌な予感が……。
と、その時。
突如、玄関扉が爆発。
豪快な、強烈な、
爆発音が部屋に響き渡る。
そして爆風で俺の布団が吹っ飛んだ

……。
もう一度言おう。
爆風で俺の布団が吹っ飛んだ。
いや、まさか本当にそんなことあるんだな。ははっ。
「おおおおおおおおなんなんだよオイイイイイ!!」
あまりに突然の事で、
俺は慌てふためき飛びのいた。
ペティことプリリンモンモンはというと、
爆風の盾となって俺を庇ってくれていた。
「いだだだだだ!!」
……とはいっても身体が小さくて、何かの瓦礫やら破片やらが俺の顔に当たりまくっていた。
「なんなんだちくしょう!!」
俺はワケもわからず叫んだ。
部屋中に煙が立ち込めているので、玄関で何があったのか全くわからなかった。
「マスター、下がってっ」
ペティは可愛らしい声を張り上げた。
「ちょ、ま……」
理解が追いつかず俺が動揺していると、やがて部屋に立ち込めていた煙は、
どこかに吸い込まれるようにすうっと消えた。
「お……おおおお……!?」
そして、
「な……マジでなんなんだよ……」
吹き飛んだ玄関に、見知らぬ男と、
可愛らしい美少女が立っていた。
「みいつけた⭐︎」
その見知らぬ美少女は、不気味に微笑んだ。
そして、玄関をまたぐ。
「おいいいい!靴脱げえええ!」
などと俺はもはやどうでもいいはずの事でブチギレてはみたが、
そんなことお構いなしに、美少女と共にやってきた男も平気で土足で人の家に上がり込む。
「マスターっ、戦いの準備してっ!」
その相手方の様子を見たペティが俺に声をかけた。
なるほど、戦いか。
俺は身構え、ペティに応えた。
「いや、しらんし!!」
もうイヤ……。
助けて、ママン……。